食事やケアなどがついた「サービス付き住宅」や、「シニア向け分譲マンション」の中には、所有権方式(所有権契約を結び、所有権を登記)のものが存在しています。
特に昭和の時代に建てられたこうしたマンションの一室を、0円でもいいから処分したい方々が複数現れており、その裏には相続についての複雑な問題が浮かび上がっています。
こうした施設では、入居者が一定の入居条件を満たす必要がありますが、相続によって所有権が移転した場合、状況はどう変わるのでしょうか?
まず、所有権方式の高齢者マンションの所有権は住人にあるため、資産として相続していくことも可能です。
また、サービス付き住宅等では入居に際して、一定の年齢要件や健康状態が求められることが一般的です。例えば、65歳以上であることや日常生活に支障がないことが入居の条件となります。
しかし、所有者が亡くなり相続が発生した場合、相続人がこの条件を満たさない可能性が高くなります。
所有権を相続した相続人が入居条件を満たさない場合、施設側は通常どのような対応をとるのでしょうか?
一般的には、入居条件を満たさない相続人に対しては、サービスの提供が認められないこととなります。これは施設が提供するサービスの質や安全性を保つために行われる措置です。
相続人がサービスを受け続けることができない場合、所有権をどのように処理するかが問題となります。一般的には、相続人が施設から退去する(入居しない)ことになり、その後の所有権の処分は相続人や関係者と施設との間で協議されます。
こうしたものの内、経年により資産価値をもたなくなったマンション等が、0円物件として現れてきているのです。
所有権方式の高齢者マンションでは、所有権を登記するため資産性はあるものの、相続が生じた場合に法的な問題や入居条件を含めた諸条件の調整が必要となります。
取得の際には、このような状態に陥る可能性もあることを考慮することが必要です。