固定資産税評価額は、公示価格の3割引を前提に評価されている。
しかし、過疎町村では、固定資産税評価額の半値はおろか、タダでも要らないと言われ、相続放棄されたり、所有者不明となる不動産は多い。
固定資産税評価を巡る裁判は、大都市では良く見られるが、田舎では訴の利益もないので、放置される。
家屋の評価額は残価率2割のため、市場の実態と極端に乖離した価格となっている。
もっと問題なのは、固定資産評価基準に法適合性の概念がないことである。
違法建築であろうが、法令上の制限により宅地として利用できない、つまり建物の建築ができない土地であろうが、おかまいなしの評価となっている。
裁判所も、評価基準どおりに評価していれば適正な時価と推認しうると言っているが、法適合性のない不動産は、市場では受け入れてもらえない。
法令上の制限を無視した評価でも適正時価、というのはどう考えても無理があると思うが、鑑定業界からの反応はほとんどないようである。
宅地以外の土地、つまり農地・山林・原野・雑種地の評価に当たって、鑑定評価を採用している市町村はほとんどない。
農地・山林の評価額は、実勢価格の10分の1前後が多いと聞いている。
一番問題なのは、雑種地の評価である。
これが全国バラバラで、しかも実勢時価と極端に乖離しているケースが多いと聞いている。
評価誤りは雑種地について多く見られるので要注意であるが、税負担が少なく、訴の利益も少ないので誰も真面目に考えようとしない。
税務課も、誰も文句を言ってこないので問題はないと考えている。
納税者の無関心は、相続時に負担となって跳ね返ることが多いが、相続人は相続財産となるまで分からないので、結局無関心となる。
- 著者:不動産鑑定士 堀川 裕巳(北央鑑定サービス株式会社 代表取締役)
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出典:鑑定雑感 2023年6月29日「土地評価のウソ・ホント ~ Vol.7」
出典:鑑定雑感 2023年7月6日「土地評価のウソ・ホント ~ Vol.8」