#00 政策企画提言ブログ「みんゼロ総研(みん0総研)」開設

2019年に無償譲渡物件の不動産マッチング支援サイト「みんなの0円物件」を開設してから、5年近くが経過しようとしています。

みんなの0円物件では、これまでに累計約1500件の「0円物件」を取り扱い、そのうち8割強がマッチングに至るなど、当初の想定を大きく上回る実績につながってきました。

しかし一方で、2023年には住宅の総数が世帯数に対して約1000万戸も余る時代が到来するという報道もあり、増え続ける空き家に対しては、あまりにスピード感に欠ける無力な取り組みであると感じています。

これまでに弊社で直面した「空き家流通における問題」には次のようなものがあり、そのためマッチングが成立しても、実際に所有権移転には至らないケースもありました。

(累計1,500件の0円物件について)
  • 事前に住所変更登記、氏名変更登記がなされていない(多数) 
  • 建物が未登記(多数)
  • 事前に相続登記がなされていない(多数)
  • 相続人が多く、全員と連絡が取れない、合意に至らない
  • 登記地目と現況地目が合っていない(多数)
  • 登記上の錯誤が修正されていない
  • 土地の境界が明確でない(多数)
  • 土地の所在が明確でない
  • 共有者の合意が得られない
  • 建物が隣地へ越境している
  • 抵当権が登記されたまま抹消されていない(頻繁)
  • 建物滅失登記がされていない(多数)
  • 抵当権設定者が個人で、すでに相続が発生しており、相続人の合意が得られない
  • 農地や農地付き建物で農業委員会の許可が得られない、非農地証明が発行されない
  • 借地だが地主の譲渡許可が得られない

これらは直面した不具合のほんの一部ですが、所有権移転に至らなかった土地建物は管理されることなくいずれ朽ちていき、有効利用されないばかりか、後に大きな負債を残します。

建物や土地自体はまだ使えるのに、主に所有権をとりまく権利関係に関連した不具合が原因で不動産の流通を阻害しているのは、国土有効利用の観点からも大きな問題と考えています。しかしこうした事実は、一般の方にはあまり知られていません。

この実態を多くの方に知っていただき、不動産について自分ごととして考えるきっかけ、そして不動産を取り巻く「仕組み」や「制度」を考える方にお伝えできたらと思い、このブログを企画しました。

このブログでは主に、

資産価値ゼロの現場から

日頃の不動産コンサルティング活動を通して気付いた問題や、直面した課題などの発信

データ分析班

0円物件の取引実績とその傾向などのデータ

これらのカテゴリを中心に情報発信をしてまいります。リアルな現場とデータ分析から見える、私たちが直面する様々な課題や問題は、社会全体に影響を与える可能性があります。

このブログを通じて、ひとりひとりが不動産について自分ごととしてどのように関わってくるのかを考えるきっかけを提供し、同時に不動産市場の「仕組み」や「制度」についても考察していきます。

どうぞお楽しみに。

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