固定資産評価基準によれば、土地評価の前提として現況地目の認定をしなければならないが、これを現況主義と称している。
課税庁は原則として、賦課期日(毎年1月1日)現在の地目を認定し、これに基づいて評価しなければならないが、大量にある土地の現況地目を全て把握することは不可能である。
納税者も、登記地目と課税地目の同一性なんて、考えることもないし、そもそも課税地目がどうなっているかは、知る由も無い。
何十年も経過すると、畑が山林・原野になったり、雑種地が山林・原野になったりするケースは多く(その反対もあるが)、登記地目と現況地目が異なってしまうことは避けられない。
資産価値の低い土地の地目を気にかけて地目変更の登記をしようとする人は、滅多にいないし、また、興味もないので、相続等で揉めない限り、長期に亘って放置されることが多い。
その結果、課税地目の誤りから、評価額が数100倍から、極端な場合1000倍も異なることがあるが、納税者が気がつかなければ、放置される。
実際問題として、課税庁に課税地目を検証する時間も人手も金もないのだから、責める訳にもいかない。
気になる納税者は、是非納付書についている課税明細をしげしげと見て頂き、疑問があれば税務課に確認すべきである。
- 著者:不動産鑑定士 堀川 裕巳(北央鑑定サービス株式会社 代表取締役)
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出典:鑑定雑感 2023年7月13日「土地評価のウソ・ホント ~ Vol.9」